1 概要
高知新聞報道をご覧ください。
2 異議棄却に至るまでの経緯
(1)2019年11月27日に連合高知のホームページ、Facebookページに「高知さくら会計がパワハラ、嫌がらせ、不当処分をし、連合高知はそれらに対する闘争をしたが、高知さくら会計は就業規則の変更は使用者の専権事項であるとの主張に終始し、労働者を降格処分としたとして、解決に至らなかったことを指摘し、そのうえで連合高知地域ユニオン委員長である市川稔道は、高知さくら会計はブラックな会社であり、こんなブラックな会社を社会的に許してはならないと訴えた」との趣旨の記事を掲載しました。
(2)2019年12月26日上記記事は真実に反しており、さくら会計の社会的信用と名誉を失墜させるものであるから、さくら会計は横川英一弁護士・横川誠二弁護士に委任し、に、連合高知を相手方として、高知地方裁判所に対し、上記記事の仮の削除を求める仮処分命令の申し立てをしました。
(3)2020年4月2日、同裁判所はさくら会計の主張を全面的に認め、連合高知に対し、上記違法記事の仮の削除を命じました。仮処分決定書の中で、裁判官は「本件記事の掲載は正当な組合活動の範囲を逸脱したもので違法である」と連合高知を断罪しました。(高知新聞報道参照)
(4)2020年4月2日、連合高知は、削除命令について「パワハラで泣いている人を侮辱する決定」だとして同裁判所に不服申し立てを行うとコメントしました。
(5)2020年4月3日、高知さくら会計は、連合高知については自らの意思で記事を削除することを期待できるような組織ではないと判断しました。そこで、高知さくら会計は、直ちに裁判所による削除命令を実現するため、同裁判所に対し間接強制の申立を行いました。
(6) 高知さくら会計は、連合高知の違法不当な行為により社会的信用をと名誉傷つけられたため、連合高知に対して損害賠償請求の訴えを提起しました。(高知新聞報道参照)
(7)2020年4月13日連合高知は同裁判所に対し、①仮処分異議申立書②保全執行停止申立書③間接強制の決定を留保すべきとの意見書を提出しました。
意見書の内容は、大要次のとおりです。
①投稿記事の削除を命じた仮処分決定に不服があるため異議申立を行った。
②仮処分決定が満足的処分であり、同決定に従うことは高知さくら会計の主張が終局的に実現されるに等しく、連合高知はこれを受け入れることができない。このため保全執行停止の申立てを行った。
③連合高知は、仮処分決定が下されたこと、同決定に執行力があることは理解しているが、保全執行の停止を含む不服申し立てを行っており、記事の削除については留保したい。
④高知さくら会計の主張する1日3万円もの間接強制金が認められた場合、高知さくら会計を不当に利することになる。
⑤以上から、保全執行の停止についての判断が下るまで削除決定の執行を留保していただきたい。
(8)2020年4月13日に、横川英一、誠二弁護士は、連合高知の意見書は無意味なものであり、間接強制の決定を早く行うべきとの意見書を裁判所に提出しました。
(9)2020年4月15日付高知新聞報道によれば、連合高知は、「記事の削除を命じた高知地裁の仮処分決定を不服として同地裁に異議と仮処分の執行停止を申し立てた」とし、市川稔道・副事務局長が「労働組合の自由や活動を著しく制限する許しがたい決定だ。あらゆる手段で争っていく」と述べたとしています。(高知新聞報道参照)
(10)2020年4月17日、同裁判所は、連合高知の(7)の⑤の主張を認めず、高知さくら会計の間接強制の申立てを全面的に認める決定を行いました。
(11)2020年4月20日、連合高知は削除命令が下されていたすべての投稿記事を削除しました。連合高知は、投稿記事を削除した言い訳を連合高知ホームページに発表しております。(こちらをご覧ください)
3 高知さくら会計代表としてのコメント
① 連合高知は、異議申し立てが棄却され、連合高知の主張が認められなかったことを真摯に受け止め、猛省し、今後の真の労働組合活動に十分に生かして欲しい。
②連合高知は、今後、高知さくら会計に行ったことと同様の、正当な労働組合活動の範囲を逸脱した行為を、中小零細企業に行うことは厳に慎んで欲しい。
③裁判所の判断に基けば、連合高知の第31回定期大会で傘下の組合役員に対して市川稔道委員長が行った高知さくら会計に関する報告は虚偽であったことになる。このことは傘下の組合員3万人を欺いたことに等しい。よって、連合高知は組合員に事実関係を十分に説明し、違法な行為であったことを傘下組合員に謝罪すべきである。
4 保全異議申し立てに対する決定書全文
(1)主文
第3当裁判所の判断
1認定事実
2債権者の社会的評価の低下の有無(争点1)
3真実性、相当性の抗弁の成否(争点2の①)
問題表現①について・・・使用者は、「就業規則の変更は使用者の専権事項だ」との主張に終始
問題表現②・・・そのうえ、相談者の「降格処分」にまで踏み込みました。
問題表現③・・・パワハラ・嫌がらせを執拗に受けた。
問題表現④について・・・こんなブラックな会社を社会的に許してはならない。
西森注:市川とは、市川稔道連合高知地域ユニオン委員長、連合高知高知副事務局長である。
4正当な組合活動による違法性阻却の成否(争点2の②)
5 保全の必要性の有無(争点3)
第4 結論